「自分だけが親の介護を続けてきたのに、遠くにいた兄弟と同じ割合でしか相続できないの?」——これは相続でよく聞かれる不満です。実は民法には、被相続人の財産維持・増加に貢献した相続人の相続分を増やす「寄与分」という制度があります。
寄与分とは、被相続人の財産の維持または増加に特別の貢献をした相続人が、法定相続分より多く遺産を取得できる権利です(民法904条の2)。
📌 寄与分の計算への組み込み方
寄与分がある相続人の相続額 = (遺産総額 − 寄与分) × 法定相続分 + 寄与分
つまり寄与分は「先取り」として取り分に上乗せされます。
被相続人が病気・高齢で療養が必要な状態のときに、無償(またはそれに近い低額)で継続的に介護・看護を行ったケース。専業主婦が親の介護を何年も続けたようなケースが代表例です。
被相続人の農業・事業に無償または低賃金で従事し、財産の維持・増加に貢献したケース。
被相続人の不動産管理・修繕・維持に特別の貢献をしたケース。
被相続人の生活費・医療費・住宅ローンなどを負担したケース。
被相続人の事業の資金を提供して財産を増やしたケース。
⚠️ 以下のケースは寄与分として認められないことが多い
💡 計算式
寄与分 = 介護日数 × 介護の日当相当額 × 裁量的割合(0.5〜1.0)
例:3年間(1,095日)毎日介護、日当相当額8,000円、裁量割合0.7の場合:
1,095日 × 8,000円 × 0.7 = 約613万円の寄与分
実際の計算では介護の内容・専門職への依頼を節約できた金額・継続性・専従性などを総合的に判断します。
相続人間の話し合い(遺産分割協議)の中で寄与分を主張します。他の相続人が認めれば、その金額を寄与分として分割内容に反映させます。
協議でまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立て、その中で寄与分を主張します。
2019年の民法改正により、相続人ではない人(例:長男の妻)が被相続人の介護に貢献した場合も、相続人に対して「特別寄与料」を請求できるようになりました。
✅ 特別寄与料の概要