「親が認知症になってしまったら、相続の手続きはどうなるの?」「もう遺言書は作れない?」——こうした不安を抱える方が増えています。
認知症になると、財産管理や相続対策の選択肢が大幅に制限されます。本記事では、認知症になる前にやっておくべき相続対策と、すでに認知症になってしまった場合の対処法を解説します。
日本では65歳以上の約6人に1人が認知症といわれています。認知症になり「判断能力(意思能力)」が失われると、以下のことができなくなります。
⚠️ 認知症になると口座が「凍結」される場合がある
銀行は口座名義人が認知症と判明した場合、預金の引き出しを制限することがあります。生活費の確保のためにも、事前の対策が重要です。
遺言書は判断能力があるうちにしか作成できません。「いつか書こう」と思っているうちに認知症になってしまうケースが多く、最も後悔しやすいポイントです。
| 種類 | 特徴 | メリット・デメリット |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 自分で手書きして作成 | 費用ゼロだが紛失・偽造のリスク。家庭裁判所での検認が必要(法務局保管を除く) |
| 公正証書遺言 | 公証人が作成・公証役場で保管 | 費用がかかるが確実・安全。家庭裁判所の検認不要 |
確実性を求めるなら公正証書遺言がおすすめです。公証人が作成するため、後から「意思能力がなかった」と争われるリスクが低くなります。
家族信託とは、財産の管理・処分を信頼できる家族(子など)に任せる仕組みです。認知症対策として近年注目されています。
✅ 家族信託のメリット
家族信託は契約書の作成が必要で、司法書士・弁護士・税理士の連携が重要です。認知症になる前に設定しておく必要があります。
任意後見契約とは、将来判断能力が低下した場合に備えて、財産管理や介護に関する契約をあらかじめ特定の人(任意後見人)と結んでおく制度です。公証役場で公正証書として作成します。
認知症になった後に家庭裁判所に申し立てることで、任意後見人が正式に財産管理を行うことができます。自分で後見人を選べる点が、法定後見制度との大きな違いです。
判断能力があるうちに生前贈与を行い、少しずつ財産を移転することで相続財産を減らします。特に以下の特例は早めの活用がおすすめです。
ただし2024年以降、相続開始前7年以内の暦年贈与は相続財産に加算されます。長期的な計画での贈与が重要です。
生命保険の受取人を指定しておくと、死亡保険金は遺産分割協議の対象にならず、受取人が直接受け取れます。認知症になっても受取人の指定は変更できますが、判断能力があるうちに行うことが重要です。
すでに判断能力が低下している場合は、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、法定後見人を選任してもらうことが必要です。
⚠️ 法定後見制度のデメリット
法定後見制度は財産を「守る」ための制度であり、積極的な相続対策はできません。そのため認知症になる前の対策が非常に重要なのです。
相続人の一人が認知症の場合、遺産分割協議ができません。この場合、認知症の相続人のために成年後見人を選任してから協議を進める必要があります。
認知症の親の口座から家族が多額の引き出しを行っていた場合、他の相続人から「特別受益」として問題にされることがあります。
認知症が進んでから作成した遺言書は、「意思能力がなかった」として無効を主張される可能性があります。医師の診断書を添付するなどの対策が有効です。
認知症対策で最も重要なことは「元気なうちに始める」ことです。
「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに対策を取ることが、家族を守ることにつながります。横浜市での相続対策・認知症対策についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。