親から農地を相続したけれど農業を続けるつもりはない、または農地を相続したが相続税の支払いが心配——農地の相続には特有の問題があります。本記事では農地相続の税務・納税猶予制度・農地転用について解説します。
農地の相続税評価は、農地の区分(純農地・中間農地・市街地周辺農地・市街地農地)によって異なります。
| 農地の区分 | 評価方法 |
|---|---|
| 純農地・中間農地 | 固定資産税評価額×倍率 |
| 市街地周辺農地 | 市街地農地として評価した価額×80% |
| 市街地農地 | 宅地比準方式(近傍の宅地評価額から造成費を控除) |
都市近郊の農地は「市街地農地」として宅地に近い評価になるため、相続税の負担が大きくなる場合があります。
農業後継者が農地を相続し農業を継続する場合、農地に係る相続税の納税を猶予(繰り延べ)できる制度があります。
✅ 農地の納税猶予制度の主な要件
農業を20年以上継続(または農地を農業目的で譲渡)すると、猶予されていた相続税が免除されます。ただし農業をやめたり農地を転用・売却したりすると、猶予が打ち切られて利子税とともに納付が必要になります。
農地転用とは、農地を宅地・駐車場・太陽光発電用地などに変更することです。農地は食料生産の基盤として保護されており、農地法による規制があります。
| 農地の区分 | 転用の可否 |
|---|---|
| 農業振興地域内農用地区域(青地) | 原則転用不可。農振除外申請が必要 |
| 第1種農地 | 原則転用不可 |
| 第2種農地 | 他に代替地がなければ転用可 |
| 第3種農地(市街地区域内など) | 原則転用可 |
⚠️ 無許可転用は農地法違反
農地委員会の許可なく農地を転用すると農地法違反となり、原状回復命令・罰則が課されます。農地の利用変更は必ず専門家に相談してから行いましょう。
2024年4月から相続登記が義務化されました。農地も例外ではなく、相続を知った日から3年以内に法務局への登記申請が必要です。農地の相続登記には農業委員会の証明書は不要で、通常の相続登記と同様の手続きです。