「兄が実家を全部もらうと言って譲らない」「介護をした分を多くもらいたいという妹と話がまとまらない」——相続が発生した後、兄弟間で遺産分割の合意が取れないケースは珍しくありません。本記事では、遺産分割がまとまらない場合の解決方法を段階ごとに解説します。
兄弟間で遺産分割がまとまらない原因として、以下のものが挙げられます。
💡 遺産分割には期限がない(ただし注意が必要)
法律上、遺産分割協議に期限はありません。しかし相続税の申告期限(10ヶ月)が迫る場合や、不動産の相続登記義務化(3年以内)もあるため、実際には早期解決が望ましいです。
まずは相続人全員での話し合い(遺産分割協議)を試みます。弁護士・税理士などの専門家が同席することで、感情的にならずに進めやすくなります。
当事者間の話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。
調停委員(裁判官と専門家)が仲介し、相続人間の話し合いによる解決を目指す手続きです。相手方が別の都市に住んでいる場合も、相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てることができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申立先 | 相手方の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 申立費用 | 収入印紙1,200円+郵便切手(裁判所指定額) |
| 弁護士費用 | 着手金10〜30万円+成功報酬(依頼した場合) |
| 期間 | 平均1〜2年(複雑な案件はそれ以上) |
| 回数 | 月1回程度の期日が設定される |
✅ 調停の成立率と特徴
遺産分割調停は約7〜8割が成立(合意)で終わります。調停が成立すると「調停調書」が作成され、確定判決と同じ効力を持ちます。不動産の名義変更にもそのまま使用できます。
調停でも合意に至らなかった場合、自動的に「遺産分割審判」に移行します。審判は裁判官が遺産分割の方法を決定する手続きです。
⚠️ 審判になると全員が不満を持つ結果になりやすい
審判は裁判官が機械的に判断するため、各相続人の希望が通らない場合も多く、人間関係の修復も難しくなります。できる限り調停段階での解決を目指すべきです。
特定の相続人が生前に受けた贈与・援助(学費・住宅資金・結婚資金など)は「特別受益」として遺産分割の際に持ち戻して計算します。特別受益がある場合は公平性の観点から相続分が調整されます。
被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした相続人(介護・事業への貢献など)は「寄与分」として相続分を増やすことができます。ただし、通常の扶養義務の範囲内(夫婦間・親子間の通常の扶養)は寄与分として認められません。
遺産分割がまとまらない場合でも、相続税の申告期限(10ヶ月)は待ってくれません。
💡 未分割申告の方法
遺産分割が確定していない場合は「未分割申告」として法定相続分で按分した内容で申告します。この場合:
・配偶者の税額軽減は適用できない
・小規模宅地等の特例は原則適用できない
→ 分割確定後3年以内に修正申告(更正の請求)で適用可能
遺産分割のトラブルでお困りの場合は、まず税理士・弁護士・司法書士にご相談ください。当事務所では相続税申告と合わせて、専門家のご紹介も行っています。