大切な方を亡くされた後、悲しみの中でも多くの手続きをこなさなければなりません。しかも相続には様々な期限があり、期限を過ぎるとペナルティが発生したり、選択肢が狭まったりします。
本記事では、遺産相続後にやるべき手続きを期限別に完全網羅して解説します。チェックリストとしてもご活用ください。
遺産相続の手続きは大きく以下のステップで進みます。
📌 相続手続きの全体像
病院や医師から「死亡診断書」を受け取ります。これはその後のあらゆる手続きに必要となる重要書類です。必ず複数枚コピーを取っておきましょう(銀行・保険・年金など各機関で原本またはコピーが必要になります)。
死亡を知った日から7日以内に、被相続人の死亡地・本籍地・届出人の所在地の市区町村役場に提出します。死亡診断書と一緒に提出します。
死亡届と同時に「火葬許可申請書」を提出し、火葬許可証を受け取ります。火葬許可証がないと火葬を行うことができません。
自宅・貸金庫・法務局(遺言書保管制度)・公証役場などで遺言書の有無を確認します。自筆証書遺言が見つかった場合は勝手に開封せず、家庭裁判所での「検認」手続きが必要です。公正証書遺言は公証役場で確認できます。
国民健康保険は14日以内に市区町村役場へ届出。会社員だった方は健康保険(協会けんぽ・組合健保)の資格喪失届を会社経由で5日以内に提出します。介護保険証も返却します。
亡くなった方が世帯主だった場合、14日以内に市区町村役場へ届け出ます。
被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本をすべて取得し、法定相続人を確定させます。本籍が複数回変わっている場合は、複数の市区町村から取得する必要があります。
預貯金・不動産・有価証券・生命保険・負債(借金・保証債務)などをすべてリストアップします。通帳・権利証・保険証書・金融機関の残高証明書などを確認します。
借金がプラスの財産を上回る場合などに、相続放棄や限定承認を検討します。「相続を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述が必要です。この期限を過ぎると単純承認(すべて引き継ぐ)とみなされます。
⚠️ 3ヶ月の起算点に注意
相続放棄の3ヶ月は「被相続人が亡くなった日」ではなく「自己のために相続の開始があったことを知った日」から起算します。先順位の相続人が全員放棄した場合は、自分が相続人になったことを知った日から起算されます。
年金事務所または市区町村に「受給権者死亡届」を提出します。未支給年金(死亡月分まで)の請求も忘れずに行いましょう。
各保険会社に連絡し、請求書・死亡診断書・戸籍謄本などを提出します。保険金の請求期限は通常3年です。
被相続人が事業収入・不動産収入・給与収入などがあった場合、死亡した年の所得税の確定申告を「準確定申告」として行います。期限は死亡を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
相続人全員が連署して、被相続人の住所地の税務署へ提出します。還付が生じる場合もあるため、忘れずに対応しましょう。
相続人全員で誰が何をどれだけ相続するかを決める「遺産分割協議」を行います。全員の合意が必要で、一人でも欠けると成立しません。
協議内容を書面化します。全相続人が実印で署名・押印し、印鑑証明書を添付します。不動産登記・銀行手続き・相続税申告に必要です。
相続税が発生する場合、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に申告・納付が必要です。期限を過ぎると延滞税・無申告加算税のペナルティが課されます。
💡 相続税がかかるかどうかの目安
遺産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除を超える場合に申告が必要です。無料シミュレーターで概算を確認できます。
2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に法務局へ申請が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が課される可能性があります。
| 書類 | 取得場所 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 被相続人の出生〜死亡の戸籍謄本 | 本籍地の市区町村 | 相続人の確定 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | 各本籍地の市区町村 | 各種手続き全般 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 住所地の市区町村 | 遺産分割協議書・登記 |
| 被相続人の住民票除票 | 住所地の市区町村 | 登記・金融機関 |
| 固定資産税評価証明書 | 不動産所在地の市区町村 | 相続登記・相続税申告 |
| 金融機関の残高証明書 | 各金融機関 | 財産調査・相続税申告 |
遺産相続の手続きは多岐にわたり、複数の期限が重なります。特に相続放棄(3ヶ月)・準確定申告(4ヶ月)・相続税申告(10ヶ月)は期限厳守が必要です。
手続きを漏れなく進めるためには、相続手続きチェックリストを活用しながら、早めに税理士・司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。